藤沢数希さんの金融日記というブログで、紹介されていたので、20歳のときに知っておきたかったことを読みました。
著者のティナ・シーリグさんは、戦略コンサルタントを経て、自ら起業したりした後、スタンフォード大学で、起業家育成に励んでいます。
金融日記にも書かれていますが、20歳じゃなくてもとてもタメになりますし、アメリカの大学は日本の大学に比べて、本当にクリエイティブな授業をしていると思います。日本の大学のように、「こことここを覚えてきなさい」といった淡々とした授業とは大違いでした。
アメリカのスタンフォード大学の授業の例
アメリカのスタンフォード大学の起業家コースではこんな問題が出されます。
いま、手元に5ドルあります。2時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?日本の大学の授業と違い、この授業の良いところは、「考えさせる授業」であることですね。つまり、「答えは自分で見つけなさい」といった主旨の授業を主に取り扱っているということです。日本の大学では、先生に答えを教えてもらうのが普通ですよね。それも、何十年も前に解き明かされたような内容を今もずーっと覚えています。それが不必要とは言いませんが、授業はつまらないし、答えのない社会では、なかなか役に立ちません。
ところで、この問題に対する生徒たちの答えもやはり、面白いですね。アメリカの生徒たちは違います。あるチームは、「洗車サービス」をしてみたり、あるいは、「レモネード・スタンド(レモンのジュース屋さん)」を開きます。
中でも大金を稼いだチームは、斬新な発想をします。それは元手の5ドルにはまったく手を付けないというやり方です。お金に注目してしまうと、視野が狭くなることに気付いてしまったわけです。
例えば、あるチームは、学生会館の真ん中で、自転車のタイヤの空気圧を無料で点検するサービスをしました。そして必要なら空気を入れる。そう無料で。
彼らが取ったマネタイズ方法は”寄付”というスタイルでした。つまり、料金を設定せずに、客に料金を決めさせたのです。実は最初は、「1ドルで空気を入れる」スタイルだったのですが、客の反応を見て”寄付”に変えたんです。それが功を成し、”寄付”の方が、多くのお金が集まることが判明したんです。
実にユニークな授業ですね。アメリカからGoogleやFacebookといった大企業が生まれるのも、納得がいきます。
アイデアは、○○に似ている。
アメリカでは次のような課題も出題されます。
「以下の空欄にあてはまる文章をできるだけ多く書いてみましょう」
アイデアは、○○に似ている。僕が気に入ったユニークな解答を2つ紹介します。
なぜなら、○○だからである。
したがって、○○である。
- アイデアは赤ん坊に似ている。なぜなら、誰もがかわいいと思うからである。したがって、自分自身のアイデアを吟味するときには客観的でなければならない。
- アイデアはワッフルに似ている。なぜなら、できたてがいちばんだからである。したがって、たえず新しいアイデアを思いつくのが大事である。
顧客を知ることの重要性
ビジネスを行う上で、”顧客を知る”ことは大事な要素の一つです。なぜなら、客を知らなければ、客に満足してもらえるサービスを創ることはできないからです。
本書では、”オムツ”の事例が取り上げられています。
ハギーズという紙おむつのが、P&Gパンパースにくらべて芳しくなかったため、対策を考えていたキンバリークラークという会社は、愛用者にインタビューしたり、紙おむつがどのように購入されているのかなど、とにかく分析を繰り返しました。
そして、キンバリークラークという会社は、大きなチャンスに気づきます。親たちは、、周りから「まだオムツが取れないの?」と聞かれるのが、たまらなく嫌だったのです。そこで、同社が思いついたのは、オムツとパンツの中間の商品「プルアップス」の開発でした。そうすれば、子供はひとりで「プルアップス」を履くことができ、そこに自尊心を持てます。そうすれば、親も「オムツよりはマシかな」「成長したな」と実感することができるというわけです。
顧客を知ることで、顧客が抱えている悩みや壁を発見でき、ビジネスアイデアに繋がるというわけですね。
一方で、アンケートには危険性もありますので、詳しくはビジネスにおける市場調査の必要性をご覧ください。
成長する人の共通点
成長する人には共通点があります。それは、
自分の持つスキルの幅を積極的に広げ、リスクを取って新しいことに挑戦する人です。
逆に成長しない人の共通点は「自分のスキルや潜在能力はこれだと決めつけ、決まった役割に徹する人」 です。
ちなみに、新しいことに挑戦する人ほど、成功する可能性がはるかに高いことは、数多くの調査で証明されているようです。
これは、別の言い方をすれば、「今まで何をしてきたか」より「これから何をするか」に焦点を当てようということです。
元経営コンサルタントの大前研一さんも「僕はこの仕事は苦手ですとか言い訳をする人ほど、仕事ができないし昇進も遅い」というようなことをおっしゃっていました。また大前さんはこうもおっしゃっています。
突破できる人間とできない人間の違いは、要するに自分にはまだ経験がないというときに、そこを避けて通るか「とりあえず入ってみよう。何かあるかもしれない」と思うかの違いである。要するに、やったこともないのにできないと言うな!やってみなきゃわかんないだろ!ということですね。
並外れた業績を達成した人々の最大の味方は、ほかの人たちの怠慢である。
ワシントンを拠点とする世界的なアドバイザリー会社、ガーデン・ロスコフノCEOのデビットはこう言いました
「並外れた業績を達成した人々の最大の味方は、ほかの人たちの怠慢である。」つまり、怠けている人達がたくさんいるおかげで、目立つ人がいるというわけですね。
成功を拒む最大の壁は、自己規制です。自分に限界を作るのは辞めましょう。
生きることの達人
中国の老子はこんなことを言いました。
「生きることの達人は、仕事と遊び、労働と余暇、心と身体、教育と娯楽、愛と宗教の区別をつけない。何をやるにしろ、その道で卓越していることを目指す。仕事か遊びかは周りが決めてくれる。当人にとっては、つねに仕事であり遊びでもあるのだ」要約すると、
- 区別や偏見、先入観を失くす
- 何事にも、全力で
- 儲かるか儲からないかは周りが決める
ということです。
逆に言えば、人生を上手に渡れない人というのは、「仕事だから、このくらいやっておけばいいだろう」とか「遊びだから、うまくならなくてもいい」と妥協してしまいます。仕事と遊びを区別することは、偏見でしかありません。もちろん、仕事と遊びの内容は違う可能性は高いでしょう。しかし、それに対する情熱は同じくらいの心持ちの人こそ、人生の達人なのです。
遊びが仕事に直結することの証明は、考える力を身に付けるには?頭を良くするたった1つの方法をご覧ください。
まとめ
本書で伝えたいことは、「自分に許可を与える」ということです。
その許可とは、「常識を疑う許可」「世の中を新鮮な目で見る許可」「実験する許可」「失敗する許可」「自分自身で進路を描く許可」「そして自分自身の限界を試す許可」などです。
つまり、「自分で壁を作るな」ということです。
こう言ってしまうと一見、自己啓発のようですが、本書の内容には、スタンフォード大学での事例や、たくさんの経営者の事例が紹介されているので、一生役に立つと思います。
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