2014年1月31日金曜日

学歴よりも大事なもの

【大前研一さんの言葉】

私がスクウェアの社外重役だった時には、学卒は一人もいませんでした。創業者の宮本雅史さん、その次に社長になった鈴木尚さん、坂口博信さんは、みんなとりあえずどこかの学校に行ったものの、卒業はしてなかったりする。

ただ、若い人たちが学校教育に頼らずに、IT分野なんかで新しいスキルを求めたとしても、30歳ぐらいになってくると、当たり前の人間になっちゃう可能性が高いと思います。独立して自分が食っていくというのは結構しんどいらしくて、どこかの会社に入ってしまいますから。

これは例えば、音楽やスポーツの世界と似ています。ヤマハ音楽教室や鈴木メソード・バイオリン教室で、5,6歳からバイオリンを始めると、傑出した人が出てくるんですよ。それで、海外へ留学して、コンクールでもそこそこの成績をとって、日本で帰国コンサートを1回ぐらいやるじゃないですか。その人たちの20年後を見ていると、弟子をとって音楽を続けているけれど、もうコンサートを開いてもお客は集まらないという、普通のパターンになっているんですね。どういうわけか、アイザック・スターンとかアルトゥール・ルービンシュタインのレベルに登っていく人は少ないんです。

では、何が違うのか。たぶん人間の幅が足りないんです。要するに、ピアノやバイオリンを弾く能力は、だいたい20歳ぐらいでピークを超え始める。そこから先は、音楽の深さや幅を広げないといけないんですが、それにはいろいろな意味の勉強をしなくちゃならない。でも日本的に育つと、テクニックは伸びても世界中の聴衆を集められるような音楽性にまでは、なかなか広がっていかないんです。これが世界のトップクラスになれない1つの理由でしょう。

つまり、自分の専門分野以外のことでも役に立つことがあるということですね。スティーブ・ジョブズの「connecting the dots.」にも通じるものがあると思います。最近思ったんですけど「connecting the dots.」の点と点の距離は遠ければ遠いほど良いと思うんですよね。

だから、「自分が今までやってきた経験を活かして」とか「自分の強みはなにか?」とかあんまり考えずに飛び込んで、一生懸命やっていれば、人間の幅が広がるんじゃないでしょうか。

【大前研一】グローバルリーダーの条件【書評・レビュー】

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