2014年1月28日火曜日

大前研一「所得税と法人税の廃止が経済の再生と財政再建に繋がる」

【大前研一さんの言葉】

日本がレベルの低い増税議論をしている間に、世界の税制は激変しています。世界の富裕層や企業は、常に魅力的な税制を提供する国を求めて”漂流”しています。そんな彼らを呼び込んで自国の経済を活性化しようと、日本以外の各国は税制改革に躍起です。

富裕層や企業を呼び込むための各国の税制には一定のトレンドがあります。それは個人所得税と法人税の減税、そして相続税の廃止です。主要国では個人所得税の最高税率は引き下げ傾向にあります。日本が50%(地方税10%を含む)に対して、ドイツ、オーストラリアが45%、イギリスが40%、アメリカが35%。なかでも低いのは、11.5%のスイスと0%のモナコです。

法人税も同様に、各国の税率引き下げ競争が激化しています。日本では地方税を加算した実効税率は約40%になりますが、ヨーロッパの平均はだいたい25%、シンガポールや香港、台湾などのアジア諸国にいたっては10%台まで下げてきています。

実際、税務戦略に優れた日本企業はすでに法人税率の低いアジア諸国などに生産・販売拠点を移し、税負担を大幅に軽減しています。当然、その分日本の税収が減るわけですが、これはボーダレスに展開する企業の経営者なら当たり前の判断であり、責めることなどできません。
--中略-- 
所得税と法人税の「全廃」で、世界中の富裕層や企業が続々と集まってきます。彼らは日本にどんどんお金を落とし、投資し、あふれんばかりの雇用をもたらします。もちろん、所得税を免除された一般の人々の個人消費も活性化し、景気が押し上げる原動力になります。その時に消費税20%ということであれば、極めて有効に機能します。

未来の見えないその場しのぎの増税論議は、一刻も速くやめるべきです。それよりも、所得税と法人税の全廃という強烈なインパクトで世界から投資を呼び込むことが、経済の再生と財政再建に繋がる1つの方法だと思います。
【大前研一×柳井正】この国を出よ【書評・レビュー】

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