2014年1月25日土曜日

役所に人はいない方が良いと思われる理由

【大前研一さんの言葉】

役所の窓口の仕事は、ちょっと考えてみればいらないものだらけだ。住民票の取得にしろ何にしろ、本当は全部ネットですませられることばかりだから、窓口はまったく必要ない。

たとえばシンガポールでは、建築許認可申請などは現在すでにCADで受け付けている。後はコンピュータで基準に適合しているかどうかを判定するだけだから、一瞬で「OK]と許認可が下りるのだ。日本のように県庁の建築許認可に1ヶ月もかかるなどという話は、すぐにでもなくせるのである。

とくに許認可などは、利権や不正が生じないようにするためにも、裁量的な部分はないほうがいい。そうするとほとんどすべてコンピュータ化できるから、役所の窓口はいらなくなる。住民や企業は手間もはぶけるし、許認可を取得するスピードが速くなって、経済活動の活性化にも繋がるはずだ。

仮に窓口が必要なことがあっても、今のように「土日にも窓口を開けるかどうか」という議論はまったく不要である。インターネットを通じて応対すればいいのだから、1日24時間、365日開いているのが当たり前になる。

こうやって「どうしても役人でなくてはいけない部分はどこか」をどんどん考えていくと、実際はほとんど存在しない。今話題になっている年金にしても、全部コンピュータにやらせれば「払った、払わない」「記憶にない」などということはありえなくなるのだ。

では、役人に残る仕事は何かといえば、プランニングの部分である。「この地方をこういうふうに変えていきたい」と情熱をもって考えることは、機械ではできない。役人たちは行政サービスの部分はほとんど自動化し、もっと企画立案の部分でアイデアを練り、知恵を絞るべきなのである。そうすれば、さらによりよい行政サービスが発想できるはずだ。
【大前研一】考える技術【書評・レビュー】

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